ちゃんと医師に処方されています。私は夜中にテンションが高くなって入眠が遅れ、1日が25時間くらいになっているのでそれを修正するためにデエビゴを飲むことになりました。双極症による睡眠障害といえるでしょう。
結論から言うと、悪夢は見ませんでした。
入眠については効果を感じました。また、途中から眠りが浅くなったように感じ、普通の夢を見ました。中途覚醒が少々ありましたが、困るほどではありませんでした。
デエビゴで悪夢を見てこのページに辿り着いた方、ちょっと待ってください。その症状には必ず理由があります。
デエビゴはオレキシン受容体拮抗薬(きっこうやく)に分類され、覚醒を抑えて深い睡眠を促す働きがあります。同時に、朝方に多くみられるレム睡眠がより浅くなってしまい、夢を多く見るようになるのです。ノンレム睡眠とレム睡眠の全体的な比率は服用によって変わらないと言われていますが、振幅が大きくなってしまうようです。
エーザイのQ&A (医療関係者以外見ちゃダメですが) によると、
"不眠症患者様を対象とした国際共同303試験において、デエビゴが投与された884例のうち悪夢の副作用が12例(1.4%)、異常な夢の副作用が16例(1.8%)に認められています。 "
というように、臨床試験で悪夢の発現率が得られたそうです。
1.4%..
デエビゴを使用した50人に1人が悪夢を見るかどうか。私の個人的な感覚と異なります。私の周りに限った話ですが、デエビゴを使用した4人に1人くらいが悪夢を訴えている気がします。あくまで私の感想ですよ。
これは私の推測です。被害妄想や不安の傾向がある患者ほど、夢を見やすくなるデエビゴで悪夢を見るのではないでしょうか。健常者でも、心配事があるときには悪夢を見たり、金縛りにあうことがあるからです。
先ほどの引用によると、デエビゴの臨床試験の対象は不眠症患者なのです。当たり前のことですがそこが重要です。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構のPDFによると、被験者の併存疾患は、
"うつ病は11.0%~12.4%,不安障害は4.4%~6.4%,GERDは7.2%~10.8%,片頭痛は3.1%~7.0%,高血圧は25.2%~33.4%,糖尿病は8.3%~8.9% "
と記されており、精神疾患を併発したデータはうつ病と不安障害しか発表されていないのです。それもこれだけの割合です。私が最も知りたかった、併存疾患別の悪夢の発現率については情報がありませんでした。
臨床試験では、眠剤は不眠症患者のために作り、不眠症患者にテストしてもらうというのは当たり前です。しかし実臨床では、不眠症以外がメインの患者に眠剤が処方されることが多くあります。 クリニックでは不眠症単独の患者の割合がそれなりに高いですが、精神科病院では、統合失調症や双極性障害、解離性障害やパーソナリティ障害でも不眠症状を呈し、眠剤が処方されます。
私は、統合失調症などの他の併存疾患に対しても臨床試験を行い、悪夢などのデータを収集するべきだと思います。しかし、仮にその併存疾患が悪夢を誘発する場合、臨床試験はときに残酷になるかもしれません。
2025年6月6日