今回は、閉鎖病棟である精神科救急急性期病棟、いわゆるスーパー救急病棟で私が体験した出来事をまとめていきます。
高齢の認知症患者などは例外ですが、病棟では患者のコミュニティが常に存在します。
私が入院していた病院では、一部の看護スタッフが連絡先交換や金品の交換・譲渡、交際などの禁止を呼びかけていましたが、まったく意味を成していませんでした。みんなやっていました。
退院後に遊びに行くことも珍しくありません。なんなら金を貸すこともあります。私は合計で9万円ほど、生活保護の患者に貸していますが、なかなか返ってきません。
私としては、精神科病院における患者同士の人間関係は、戦友のようなもので必要不可欠であると考えています。ただし、そこに金銭が絡むと、せっかくの良い関係が終わってしまうこともあるので注意しましょう。
私もその1人でした。精神科病院の患者の男女比は、女性の方が少し高いので男性からすると少し彼女ができやすい環境である気がします。精神科に入院する患者は、同じ境遇を持つ異性と非常に相性が良い場合があり、運命を感じることも多いようです。
閉鎖病棟に入れば誰でも恋人ができるのか?そうではありません。前回のメンヘラ女子はモテるのか?で述べたように、発達障害の傾向が強い(話し方に癖がある等)、幻覚妄想がある、肥満、肌荒れ、縮毛などがみられる場合、気の合う異性が見つかることはありますが、当てはまらない患者に比べると交際に発展することはほとんどありません。
仲良くなると、睡眠と入浴以外、1日のほぼ全ての時間を異性と過ごすようになります。告白がない場合でも事実上の交際関係に発展するのです。そこまで仲良くなると、自然とスキンシップをとるようになりますが、その辺りで看護師にストップされます。他害行為になり得ることですし、病院の秩序を守るためです。病棟の死角でキスやハグをするというのはまだマシなケースで、ひどい場合には消灯後に性行為をしてしまうこともあるそうです。
病院での出会い、私は素敵なことだと思います。しかし、精神科患者同士の場合では、双方ときに一方の恋愛的な依存傾向が極めて高く、トラブルになるリスクを決して無視できません。おそらくは、うまくいく場合もその依存傾向のおかげであると思います。しかし、あまりにも愛が強いとうまくいかないものです。精神科患者は「死」を脅し文句にして自分の欲求を通そうとすることがあるのですが、そういった考え方が些細なトラブルに油を注いでしまうのかもしれません。
私が再入院した際に、当時中学3年生の閉鎖病棟で出会った女性が面会に来た日のことです。看護師に「さっきの子がフィアンセ?共倒れしないようにね」と言われました。その言葉が全てなのかもしれませんし、そうでないかもしれません。
犯人は私です。いや、あの環境にいたら誰だって浮気しますよ。
私が初めて入院して1週間ほど経った頃、5名ほどの女性陣に囲まれて病院食を食べたことを覚えています。五等分の花嫁です。そして、4週間ほど経った頃、2人目を作ってしまったのです。特に外向的な若い男性は閉鎖病棟ではモテやすいのだと思います。外ではモテないのに…クソぉ。
"女の敵はいつだって女なのよ"
マイメロママの言葉が分かる気がします。複数の女の子と仲良くしても、1人に選んでも女の子のグループは割れてしまいます。正解はわかりません。だから、男は悩み続けなければならないのです。
特に若い女性患者は、好みの看護師を見つけて手紙や交換日記を渡すこともあります。話を聞いてくれるのもそうですが、とりわけ若くて美的な看護師を好みます。一方、男性や落ち着いた女性は、看護師としてどれほど融通が利いた仕事ができるかを評価する傾向にあります。
同様に、苦手な看護師もリストアップされています。ADLがJ1だから部屋に朝食を持っていかない、身体拘束を脅し文句にして患者に指示するなどといった看護師は、嫌われています。
精神科患者はじっとすることが苦手であることが多いです。その理由としては、発達障害の多動や、抗精神病薬の副作用であるアカシジアなどがあります。
病棟に持ち込めるものはかなり限られています。刃物は無論、紐のあるものなど自傷他害につながるおそれのあるものは持ち込めません。また、デンタルリンスやシャンプーも看護師に預けて、使う時のみ返してもらえます。
病棟の設計もしっかり考えられています。窓は10センチしか開きませんし、浴室のシャワーフックもマグネットで、体重をかければ外れます。
私が入院していた頃に、5つほど欠陥を見つけました。自傷行為に使う道具を持ち込む方法や、閉鎖病棟から抜け出す方法です。ここで紹介すると真似する患者が出るので述べません。
10センチしか開かない窓から飛び降りようとしたり、本棚を破壊したりすると、精神保健指定医の指示で身体拘束を受けることがあります。行動制限と呼ばれる隔離や拘束は、まず12時間行われることが多いです。その間は基本的にトイレに行くこともできず、おむつを使用します。ほとんどの場合「胴」を拘束し、点滴を伴う場合などに手首も拘束します。足首の拘束具もありますが、それを使うケースはかなり重度でしょう。
日中も夜中も聞こえてきます。代表的なものを紹介します。
「すいません!」
隔離・拘束された患者が言います。
「ヤァアアーアー!」
統合失調症の女性に多い。
「ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱーー!」
認知症の女性に多い。
男性は意味のない言葉をあまり叫ばない傾向にあるのではないでしょうか。これもまた面白いですね。
鍵のかかる保護室・準保護室では、病室内にトイレがあり、そこで食事をとるとあまり美味しくないのです。ですから、デイルームなどで食事をとりたくなります。
2025年5月26日