誤解されるパニック障害
誤解されるパニック障害
不安症群のひとつに、パニック症(パニック障害)があります。強い不快感や不安、恐怖が現れる①パニック発作を反復し、②さらなる発作を恐れる場合に診断されます。実は、パニック発作のみなら、1年間で人口の11%もの人々に発生します。過呼吸を起こす場合もよくあります。暴露療法や認知行動療法、抗うつ薬や抗不安薬の処方によって治療します。
以前の会食で、精神医学に詳しくない友人にパニック症について語った際、彼が誤解していることが分かりました。パニック発作は暴れたり叫ぶような症状だと認識していたのです。それはなぜでしょう?おそらく、精神医学が日本に輸入された際に「panic」を訳さなかったことが原因ではないでしょうか。
panicは、青ざめるような不安、恐怖を感じている状態を指します。内面で爆発しているものの、外には向かっていないというニュアンスです。
一方、日本語英語のパニックは、慌てふためく、取り乱す、騒ぐ、といった、目に見える混乱を想起させます。叫ぶ、暴れるといった行動を連想する人も少なくないでしょう。結果として「パニック障害の人=制御不能になる人」と誤解されることになります。
先日、YouTubeでこんなものを見ました。おそらく、パニック発作について誤解する人は、強度行動障害のようなものを想像すると思います。
強度行動障害は分類ではなく状態を表します。いずれにしても、パニック症やパニック発作とは全くの別物です。この報道で「パニック」という、日本語的な意味は通じるが間違った英単語を使うことによって、パニック症の誤解が広まってしまうのではないでしょうか。
2025年7月20日 18歳