低気圧による不調と不安障害の男女比に着目
低気圧による不調と不安障害の男女比に着目
私が精神科病棟で見た光景
高2の頃、精神科救急急性期病棟(閉鎖病棟)に入院した時の話です。ある晩、デイルームの女子会のリーダーが「明日低気圧だから今日は早めに解散しよう」と言い、全員が消灯前のひとときを病室で過ごしました。その翌日、全員が精神的に不調を訴え、全員が頓服を飲んでいました。
私はそれを見て「低気圧は本当に良くないんだな」と思いました。しかし最近になって考えると、不調を訴えるのには精神科的な理由(思い込み)もあるかもしれないと思ったのです。
日本人の6割が低気圧で不調を感じると言われています。ところが、低気圧は人類が誕生した頃には既にあったはずで、進化を考えるとその割合は高すぎる気がするのです。悪天候に備えて交感神経を上がらせる働きはあるのかもしれません。ちなみに米国では25%から40%だそうです。
このエッセイは私の思い込みも強いので、注意して読んでくださいね。
悪くなると思い込むのが良くないかも
読者の皆さんはプラシーボ(プラセボ)効果をご存じですか?思い込みや安心感によって、有効な薬を飲まなくても症状が改善する現象です。その逆もあります。ノーシーボ(ノセボ)効果です。昔、オランダの死刑囚(ブアメード)に対する人体実験で、なんと思い込みの効果で死亡したというのがあります。
特に頭痛やめまい、だるさといった神経的な症状は、思い込みの効果で簡単に作ることができます。ここだけの話ですが、私も友達で実験したことがあります。
天気予報の普及
確かに、低気圧で内科系的に体調を崩すことは多くの研究によって証明されています。喘息などは分かりやすい例です。しかし、12時間のフライトで何も問題ない人が、雨の日に体調を崩すというような話があれば疑問が生じます。それは気圧の下がり方や時間の問題かもしれませんが。
低気圧予報を見て体調が悪くなると思い込む人は、現代では増えているのではないかと感じています。低気圧予報が浸透している、していない地域、または年代ごとに気象病の統計データをたくさん収集したらまとまるかもしれません。
低気圧不調と精神疾患の男女比を比べる
思い込みで悪くなることは多くの精神疾患に当てはまると思いますが、代表的なものが不安障害ではないでしょうか。ネガティブに考えれば考えるほど悪くなりますが、抗うつ薬で抑うつ気分を改善するなどして楽観的な気持ちを保てば不安症状も改善されます。
ここで、両者の男女比を比べてみましょう。気象病のうち、低気圧で不調を訴える患者の男女比は(女70:男30)です。一方、不安障害は(女67:男33)です。かなり近いですね。これは偶然かもしれませんし、そうでないかもしれません。私は発症機序が似ているのではないかと感じます。直ちに関連付けられるほどのエビデンスを持っていないのですが。
幻覚妄想(どちらかといえば妄想→幻覚)のある統合失調症でも、低気圧による不調が起こりやすいのかもしれません。統合失調症の男女比は(1:1)です。不安障害全体の生涯有病率が30%ほどなのに対して、統合失調症は1%ですから統計に現れにくいのかもしれません。
思い込みでも症状は本当。向き合おう。
私は、低気圧で不調を訴える患者の何割かは思い込みによるものだと推測します。低気圧に関する思い込みへの治療も、思い込みの効果ではないでしょうか。プラセボ投与でもできますが、認知行動療法も有効かもしれません。もし低気圧による不調と不安障害の関連が認められれば、その助けとして抗うつ薬などを使うこともできるようになるかもしれません。最も大事なことは、患者の訴えを受け入れ、導くことです。
今回のエッセイは答えがまとまらず、かなり難しくなりました。すみません。
「命に関わる仕事に答えなどあろうはずがない。何度でも石を投げるしかあるまい」 白い巨塔・大河内教授
2026年1月31日 19歳