韓国旅行(閲覧注意)
韓国旅行(閲覧注意)
韓国の空港。医学生の僕と料理学生のゆいかちゃんは、入国審査の列に並んでいる。
「私英語も韓国語も話せないから、一緒がいい」
「入国審査くらい日本語通じるよ」
「私だけ入国できなかったらどうするの?」
結局入国審査は2人で一緒に受けた。
無事に入国。バスに乗ってホテルに向かう。
「ちょっと待ってゆいかちゃん、タバコ吸ってから…」
「減らすって約束したよね?」
「そうだけど、3時間も吸ってないんだよ?」
ホテルにチェックインした。文句を言われることを恐れてツインにしたが、逆に怒られてしまった。
「私たち2人で海外旅行するほど仲いいんだよ?ダブルでいいじゃん」
「分かった。ベッドくっつけるから手伝って。チェックアウトの時に戻せばいいから」
夕方、半〇堂にある食堂で焼肉を食べている。サムギョプサルというやつだ。
「このあとホテル戻る?それともまたどっか行く?」
「夜景が見えるとこ行きたい。駿くん連れていって」
バスを乗り継いで86タワーに行った。展望台のベンチでお互いに寄りかかりながら、手を握りながら寝てしまった。
「ここはあなたがたのホテルではありません。起きてください」
スタッフに注意された。
翌朝、ホテルのロビーで朝食を食べながら今日の予定を立てる。
「見て!カニの公園だって」
「なかなかマニアックなとこ見つけるじゃん。韓国のおじいちゃんに連れて行ってもらったことあるよ」
盈徳郡の大蟹公園に行くには市外バスに乗る必要がある。そのバスターミナルまでは地下鉄だ。
半〇堂駅で安〇駅行の地下鉄に乗った。
「駿くん、なんかあの男怪しくない?」
その時だった。男が持っていたペットボトルから液体を撒き散らした。
「きったねぇなぁ」
僕はそれがガソリンだと気づいていない。男がライターで火をつけた。
「ゆいかちゃん逃げて!」
電車がブレーキをかけると同時に、火がこちらに流れてきた。ゆいかちゃんのロングスカートに引火した。
「駿くん!助けて!」
車内が炎に包まれていく。そして焼肉のようなにおいがする。昨晩食べたサムギョプサル、あれはおいしかった。人生の中で一番幸せだった。それなのに、なぜこんなことに。
「駿くん聞こえる?熱いよ」
ゆいかちゃんは煙で見えない。
「ゆいか!」
「大好き!ありがとう!」
「僕も大好き!」
返事はなかった。
2025年12月2日 18歳